有名企業のドメインは誰のもの?10年前の「Jフォン裁判」とは

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インターネットの世界において、ドメインは商標と同じく唯一無二の価値を持つ。それゆえ、ドメインの所有を巡って熾烈な闘争が行われ、果ては裁判まで開かれることがある。判例として有名になった10年前の「J-フォン裁判」の経緯を見てみよう。


ドメイン名はある意味「取ったもん勝ち」の世界。誰でも簡単に取得できることから、有名な企業の名前を借用して、手っ取り早くアクセスを集めようとする輩も出てくる。しかし、これまで裁判に持ち込まれた例では、いずれも本家の企業側が勝訴している。特によく知られているのが、2000年の「J-フォン裁判」だ。

デジタルホン・デジタルツーカーが1997年2月に開始した携帯電話サービス「J-フォン」といえば、覚えている読者も多いだろう。同年7月、輸出入販売会社の大行通商が「j-phone.co.jp」というドメイン名を取得。「J-PHONE」の名前を使ってホームページを開設したことから、J-フォンはドメイン名の使用差し止めと損害賠償を求めて、東京地裁に訴えを起こした。
裁判は二審まで進んだが、最終的にはJ-フォン側が勝利。大行通商は裁判所の指示に従い、「j-phone.co.jp」に開設していたホームページを削除した。
しかし、裁判で請求できるのはドメインの使用差し止めまで。自社のドメイン名を確保したいJ-フォンは、日本知的財産仲裁センターにドメイン移転の申し立てを行い、2002年には念願の所有権を入手。足掛け5年の歳月をかけて、ついにJ-フォンは「j-phone.co.jp」の正式な持ち主となった。
翌年、J-フォンがボーダフォンに買収されたことで「J-フォン」ブランドは消滅。苦労して勝ち取ったドメイン名なのに実働期間はほとんどなし……というトホホなオチが付いたものの、この事件は、企業のドメイン名は法の元に保護され、第三者が取得しようとすれば分の悪い裁判を覚悟しなければならないという、重要な判例を後世に残したのである。

もちろん、裁判沙汰になるのは既存の企業名や商品名を含んだドメイン名であって、それ以外、例えば流行語などをドメイン名に取り入れる分には何の問題もない。どんな言葉が流行るのかを先読みして、ドメイン名をあらかじめ取っておくのも、作戦としてアリだろう。
そういったドメイン名には同じ狙いの人が殺到するため、ドメインオークションにかけられて、熾烈な入札競争になることが多い。

先月(11月)のお名前.comが行ったドメインオークションで人気を集めたドメイン名のトップ3は以下の通りだ。






















 ドメイン名  落札価格  入札数 
fumo.jp2万3100円33
ren.jp1万6000円16
hitogomi.jp1万2100円11


今月は入札合戦が起きることもなく、全体的に落ち着いた雰囲気でオークションは進行した。
1位の「fumo.jp」と2位の「ren.jp」は、なんといってもその短さが魅力だろう。ここまでドメイン名が短いと、直接アドレス欄に入力するのも容易。ドメイン名単体では意味が取れないが、サブドメインと組み合わせると、面白い展開が期待できそうなドメイン名だ。

■ 「fumo.jp」と「ren.jp」に人気が集中

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お名前.com」のドメインオークションは、1日から5日まで(5日が土日祝日の場合は翌営業日まで)開催されている。12月は「.info」ドメインが50円でゲットできる超激安キャンペーンも実施中だ。お名前.comのトップページのバナーをクリックして覗いてみよう

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オークションに発展した人気ドメイン名の一覧が表示される。オークション期間はドメイン名への入札はリアルタイムで進行中。価格は常に変動しているので、どのドメイン名に入札が集中するか、目が離せないぞ

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11月のオークションで一番人気だったのが「fumo.jp」というドメイン。2万3100円で落札されている。今回のオークションの落札価格は低調気味で、比較的安く手に入れられている

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オークションは毎月5日の17時で終了だが、直前に入札があった場合は延長され、入札がなくなるまで続けられる。「fumo.jp」も17時を過ぎても入札が止まらず延長となったが、12分オーバーで落札となっている

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今月は残り4日の段階で既に上位のドメイン名については入札が飛び交い、既に11月の最高入札数を超えている。さらに、今月は日本語ドメインも目立っているぞ。まずは、一通りオークション中のドメイン名をチェックして、気になるドメインがないか探してみよう。

お名前.comドメインオークションは、入札に次ぐ入札で過激な奪い合いに発展することも珍しくないが、その辺は個人だけでなく企業でも同じ。企業間のドメイン紛争や移転は後を絶たず、最近では、TwitterのJPドメインが無関係の企業に取得されたことで、日本知的財産仲裁センターで紛争の処理が行われている。

ドメイン名はサイトの所在を示だけでなく、その出自の確かさを示すアイデンティティとしての側面もある。それゆえに、企業も個人もあらゆる手段を使って、その正統性を守ろうとする。要は、個人・企業問わず、それだけの価値があるモノであるということの表れなのだ。
身近なドメインオークションに加えて、企業がブランド名をかけて争っているドメイン紛争に関心を向けると、ドメインの世界をよりディープに知ることができ、さらには価値があるドメイン名の傾向が分かってくるかもしれない。
さぁ、お名前.comドメインオークションで価値あるドメインを見つけよう。

前回の記事:「お名前.com」でサブドメインを作成 セカンドブログを始めよう


2010年12月06日 02時28分
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