iPhone/touch用のアプリ不正使用ツールCrackulousでJB界に衝撃

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iPhone/iPod touchの通称「脱獄」は、一応これまで「Apple非公認だがiPhone/touchの進化を考える上では肯定的に捉えられなくもない」程度のポジションを保っていたが、年末から進行しているInstallous→Crackulousで、この状態は終わるかもしれない。iTS販売アプリを簡単操作でkrackして不正配布する/不正配布されたアプリをインストールするツールだ。

iTSから購入したアプリには認証情報が付加されている。アプリの実体は「.ipa」ファイルで、これはiTunesのインストールされたマシン内にも存在するのだが、認証情報が付加されているため、自分のiPhone/touchでしか動作しない。例えば自分のマシン内の「.ipa」ファイルを、iPhone/touchユーザーの友人に上げたとしても、そのアプリは購入者以外のデバイス、つまり友達のiPhone/touchでは動作しないのだ。

この認証情報を解除し、あらゆるiPhone/touchでアプリをインストールすることができるようになったら、それがkrackとなる。「解除」の方法は、昨年夏あたりから一部の海外フォーラムなどで公開されていた。自分で購入したアプリの認証を「解除」し、インターネット上にファイルをアップロードするユーザーも(手間が非常に面倒なので数は少ないはずだが)存在し、そうしてアップロードされたファイルから、iPhone/touchへのアプリインストールを行うためのツール「Installous」も、昨年末あたりに登場していた。

そして今回リリースされたのは、自分が購入したアプリを、簡単操作でkrackする(認証情報をipaファイルから除去する)ツール「Crackulous」。このツールの登場が衝撃的なのは、krackの手間が圧倒的に簡単になること。従って、ウェブ上などで公開されるkrack済みファイルの数が、このツールの登場によって圧倒的に増えることが予想される。例えば、現状では日本語アプリのkrack済みファイルはウェブで探すことが困難だが、「誰でも手軽にkrackを行える」となれば、つまり、過去に様々な場所で、様々なツールで何度も繰り返されてきたような状況が訪れるだろう。

「Crackulous」により、iTSアプリのkrackは、「脱獄」を考える上で欠かせない要素となる。「Appleにとって」はもちろん、脱獄手段の提供、脱獄済みiPhone/touchへの非公認アプリインストールを行う手段の提供など、直接的にkrackと関係のない方向で「脱獄」と関わってきたコミュニティにとっても、これは重大な問題だろう。iPhone/touchの脱獄に、様々な形で関わる人々の今後に注目だ。

……ということで、公開して良いのか微妙な情報だったのだが、Engadgetが先陣を切ったので、もう少し詳細な情報込みでお届けする。

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krack済みアプリのインストールを行う「Installous」は昨年末に登場している。脱獄済みiPhone/touchに非公認アプリ(これは必ずしも割れとは関係がない)をインストールするCydiaは、公開アプリのデータベース(レポジトリ)アドレスを手動追加することで、Cydiaが直接管理していないアプリの導入にも利用できる。Installous/Crackulousは「http://cydia.hackulo.us」レポジトリからのインストールだ。つまり、Installous/Crackulousは、「Cydiaが直接的に管理しているアプリ」ではなく、「ユーザーの操作によってCydiaからインストール可能になるアプリ」であると言える。

参考:
iPhoneパケ代節約テクの基本は脱獄+BossPrefs :教えて君.net
iPhone/touch2↑でマップをオフライン利用「OfflineMaps」 :教えて君.net
プラグインでiPhone/touchのSafariにダウンロード機能を追加 :教えて君.net
iPhone/touchでYouTube動画をダウンロードするMxTube :教えて君.net
iPhone/touchでMACアドレスを偽装できる「Stealth MAC」 :教えて君.net
過去に教えて君.netで紹介した、脱獄によってのみ利用可能な非公認アプリ。脱獄→Cydiaから非公認アプリをインストール、で導入する。

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.ipaファイルのkrack方法は昨年夏あたりから。「自分のマシン内の.ipaファイルをkrackする方法」であり、そしてiTSアプリの.ipaファイルは購入しない限りダウンロードできない訳なので、「任意のアプリのkrack」にはならない。

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あくまで、他のiPhoneユーザーが購入してkrackし、ウェブに上げたアプリを自分のiPhone/touchに入れる方法、である訳だ。従って、割れ側から言えば「どの程度の数のアプリがkrack済みで配布されているか」というのが重要になる。実際どのくらいの数のアプリが不正配布されているのか、というのは「http://appulo.us/appdb/i/」を参考に。

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今回公開された「Crackulous」は、自分のiPhone内のiTSアプリを簡単操作でkrackできるツール。iPhone/touch内で.ipaをkrack→母艦から接続してkrack済み.ipaを取り出す→ウェブに上げるなり、という行程でkrack/不正配布を行えることになり、作業の手間が大幅に短縮される(ただし現バージョンでは正常に動作しないという報告もアリ/アプリ名の日本語と相性が悪い模様だが詳細未検証)。

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脱獄済みiPhone/touchに非公認アプリをインストールするCydiaは、現在中央サーバーと接続不能になっている。復旧するまで何とも言えないことではあるが、「CydiaからのInstallous/Crackulousインストールを不能にすることで非難の矛先をかわす」という狙いかも。

執筆:tokix (tokix.net)

2009年02月03日 02時14分
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