ベスト・オブ・脳内洗浄ムービー 三次元部門賞発表!
以前は面白い実写動画と言えば海外のものが圧倒的に多かった。でも今年は日本人が撮影したネタ動画がたくさん登場! 面白作品が超てんこ盛りだ。DVD発売やテレビ放送されるものまで登場するほど盛り上がった3次元動画、部門賞に輝いたのはこの作品だ!
ネトランの3カ月連続アワード企画の締めくくりを飾るのは、2007年を代表する名作動画を決定する「ベスト・オブ・脳内洗浄ムービー」だ。1年で動画コミュニティに登場した数え切れないほどの作品の中から国内の個人作品に限って選び出し編集部と審査員が評価を行った。3回目となる今年は全ノミネート動画を「3次元」「2次元」の2部門に分け、最高の評価をされた「大賞」を筆頭に総額100万円の制作支援金を授与しちゃうぞ。
2007年はニコニコ動画の大ブレイクに加えYouTubeの日本語版が登場したことから、国内で作成される動画は爆発的に増えた。中でも実写の映像作品は、芸人魂あふれる人がムチャな企画に挑戦するキワモノ的な内容から、普通の一般人がアイデアと工夫を凝らして作った作品へと作品傾向が変化している。「3次元部門」では、ビデオカメラなどで撮影した実写動画や、楽器やゲームなどの実演動画を集めている。本来なら2007年に大人気を博した動画すべてをノミネートしたいところだが、あまりに量が多すぎるため37本に厳選。
「創作&ドキュメント」「音楽」「衝撃映像」の3カテゴリに分類して審査した。
ノミネートした動画の中にはDVD化されたりテレビで取り上げられたものだってある。まさに面白さは折り紙付きだ。受賞作品だけでなく、ぜひすべてのノミネート作品を再生し
てみてほしい!(→3次元部門のノミネート作品リスト)
音楽系動画ブレイクの筆頭「おっくせんまん」に部門賞授与!
3次元部門の部門賞には「【ゴム】ロックマン2おっくせんまん!(Versionゴム)」が選ばれた。ファミコンゲーム「ロックマン2」の曲を演奏し、メロディに歌詞を付けて歌っている作品だ。とても20年前のゲーム音楽とは思えないほどカッコよくアレンジされた楽曲とポップですぐに覚えられるメロディ、子供から大人になっていくにつれ失われていく記憶を懐かしむバカっぽくも切ない歌詞は公開されるやいなや大人気に。「おっくせんまん」は2007年のネット上の流行語にもなった。
音楽関連の動画はかつてネットではさほど注目されていなかったが、この作品の登場以降、「歌ってみた」「演奏してみた」という動画が続々と登場した。現在の音楽系動画ブームの火付け役とも言えるのが「おっくせんまん」なのだ。楽曲や演奏、歌詞、歌い手など複数の作者がコラボレートして進化していった作品であることも注目ポイント。ネットで動画をきっかけにほかの人と交流する面白さを認知させてくれた作品として、満場一致で部門賞となった!
ベスト・オブ・脳内洗浄ムービー 3次元部門 部門賞
「【ゴム】ロックマン2 おっくせんまん!(Version ゴム)」
作者:蒼い牙、ゴム、PigKing
(評点:
オリジナル性☆☆☆☆★
インパクト ☆☆☆☆☆
創造性 ☆☆☆☆☆)
おっくせんまんという名で親しまれているが、正式な曲名は「思い出は億千万」だ。映像には「ロックマン2」のプレイ画面が使われている
最初の方は子どものころにやっていたウルトラマンセブンのマネについて歌うバカ歌っぽい内容
後半では懐かしさと一抹の寂しさを感じる歌詞に変わっていく。歌っているゴム氏のシャウトが感情を揺さぶる
派生した動画には名作と呼ばれるものもある。画面はオリジナルの音楽にDNA氏作の映像を組み合わせた作品だ
大賞 受賞者コメント
「僕もこのBGMが流れるとこの歌詞が再生されるようになりました。おっくせんまん!(蒼い牙)」
選評
「ロックマン2 おっくせんまん!」は、もともとはロックマン2のゲーム音楽に歌詞を付けただけの動画で、ファミコンでロックマン2をやり込んだ世代がロックマン2を懐かしむと同時に歌詞の内容に共感して話題にされた、いわば特定の世代のみの流行だったわけだ。だがすぐに世代の垣根など簡単に超えて大ブームとなった。本当に面白いものは世代差など関係ないということを実感させられた。歌詞を考えたのも演奏しているのも動画を作ったのも、もちろん歌っているのも全く別の人だ。たくさんの人の手によって作られたこの動画はニコニコ動画で敬意を込めて「才能の無駄遣い」と呼ばれるような、ただ純粋に「面白いことをやろう」という作り手の姿勢が感じられて好感が持てる。ネット発の動画としてさまざまな方面に与えた影響も大きく、発表から1年近くたった今でも根強い人気を誇る。納得の部門賞受賞だ。(☆☆☆☆☆)
部門賞は2007年前半のメガヒットといえる音楽動画。名作ゲーム「ロックマン2」の「ワイリーステージ」のBGMに歌詞を付けて歌ったものだ。注目を集めたのは原曲の良さに加え、ネタ系でありながら涙腺を刺激してくる歌詞の良さがある。特に「ウルトラマンセブン!」「おっくせんまん!」という思わず歌いたくなるような印象的なフレーズには「やられた」と感じた。しかし、この作品ががここまで流行ったのはインパクトがあるボーカルのゴム氏、原曲のイメージを損なわずにアレンジして生演奏した蒼い牙氏、ロックマン2のスーパープレイ映像を編集して動画にまとめたPigKing氏の存在があったからこそ。いずれが欠けていてもこの動画は生まれなかったはずで、ある意味奇跡的な作品じゃないかとさえ思う。音楽動画という従来ほとんど存在しなかった未開の分野を切り開いてネット上の新たな潮流を作り出した功績は大きく、納得の受賞といえるだろう。(☆☆☆☆☆)
生身の人間がパフォーマンスを見せる動画は国内ではあまり人気がなかった。理由としては「日本人は内気だから」などと言われてきたが、「ハルヒ」のエンディング映像のダンスを踊った映像をYouTubeでバンバン公開する人が登場してから状況は一変した。面白いパフォーマンスを見せてたくさん感想をもらおうという動画作者がたくさん現れたのだ。今や「歌ってみた」「演奏してみた」などの音楽系動画は国内の動画シーンで最も面白
いジャンルの1つと言っても過言ではない。現在は音楽系動画だけでなく「○○してみた」などのタイトルが付けられた多種多様なネタ動画がアップされている。日本人だって機会さえあれば面白いコンテンツはいくらでも生み出せることが証明された格好だ。さらに気軽に動画を公開できる場所を提供したニコニコ動画、そして高クオリティな作品を見せつけてたくさんのフォロワーを生んだおっくせんまんの功績は計り知れないほど大きい。(☆☆☆☆★)